透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy :TEM)は、組織学やその関連分野である細胞学や病理学などにおいて、ますます重要なものとなってきています。
従来、TEMは非常に複雑で高価であり、特に病理薄切片のような低原子量の材料にはかなりの難しさがありました。
しかし、低電圧電子顕微鏡(LVEM)の登場により、この状況は大きく変わりました。
技術的な困難さとコストを大幅に削減することにより、LVEMは、特に低原子量元素で構成される試料のTEMにおいて、信頼できる有望な技術としての地位を確立しました。
重金属染色を必要とせずに高コントラストイメージングを提供する能力は、その使いやすさと相まって、研究および臨床診断の両方における組織学的用途へのLVEMの応用範囲を大きく広げました。
TEMで生物学的試料を研究する際に特に課題となるのは、ミクロン単位に及ぶナノスケールの特徴を画像化することです。一つの方法は、関心領域全体を画像に収めるのに十分な低倍率でその領域をキャプチャすることです。
しかしこれでは、より微細な部分の解像度が損なわれてしまいます。
より大きな試料の領域から複数の高倍率画像タイルを融合させるプロセスであるイメージステッチングは、広い領域にわたってより高い詳細を提供するために好まれる技術です。
この方法では、解像度を犠牲にすることなく、試料の全体像を把握することができます。
この記事では、無料かつオープンソースのソフトウェアであるFijiを使用した、画像ステッチングを紹介致します。
*位置が不明の場合も調整可能です
以下に、大きな病理学的薄切片(FOV ~20μm)の例を示します。最初に、この切片を非常
に低倍率で撮像し、領域全体を網羅します。次に、同じ領域の25枚の解像度・高倍率画像タイルからなる融合画像が表示されます。
1992年に設立されたDelong Instruments社は、透過型電子顕微鏡(TEM)の分野で高度な電子光学機器の開発、エンジニアリング設計サービスの提供、精密部品および真空技術の製造を行っています。